妊婦になる人・なりたい人は知っておきたい感染症

妊婦になると感染症にかかりやすい!?

妊娠すると母体が変化する事によって免疫力が低下します。
特に病原体やウィルスに対抗してくれる細胞免疫が低下すると言われています。
細胞免疫は血液中にあるキラーT細胞など、主に身体に侵入した異物を処理する働きがあります。
そのため妊娠すると免疫力が低下、身体が病気やウィルスに感染しやすい状態になってしまい、病気にかかると重症化しやすくなります。

妊娠 感染症

ただ、細胞免疫が低下することで赤ちゃんを守る働きもしています。
赤ちゃんの半分はお父さんからの遺伝子のため、自分の細胞以外のものを排除しようとする力が働き、異物を排除しようとする力が働いてしまいます。

排除する力を弱めるため、妊娠中、お母さんは自身の免疫力を下げて赤ちゃんを守っているのです。

一番気になる母子感染

母子感染を知っていますか?
細菌・ウイルスなどの病原体が原因となって発症する病気を「感染症」といい、
何らかの原因で病原体が、お母さんから赤ちゃんに感染することを「母子感染」といいます。「母子感染」は感染時期と感染経路によって以下の3つに分類されます。

(1) 胎内感染

赤ちゃんがお腹の中で感染する

(2) 産道感染

分娩が始まって赤ちゃんが産道を通るときに感染する

(3) 母乳感染

母乳を飲むときに、お母さんより感染する

母乳感染

気をつけたい感染症と感染経路

胎内感染 産道感染 母乳感染
-ウイルス-
風疹ウイルス
B型肝炎ウイルス
c型肝炎ウイルス
HIVウイルス
ATLウイルス
サイトメガロウイルス
パルボウイルス
クラミジア・トラコマチス
-細菌-
梅毒
淋菌
B型連鎖球菌
-真菌-
カンジダ・アルビカンス
-原虫-
トキソプラズマ

・風疹ウイルス

過去にもニュースなどで話題になりましたが、妊娠中のお母さんが風疹ウイルスにかかると、赤ちゃんにも感染し先天性風疹症候群になる心配があります。特に妊娠初期にかかるのが危険とされています。妊娠初期は妊娠していることも気が付かないので、妊娠前から風疹の抗体価を調べておく必要があります。妊娠中はワクチンを打つことはできないので、抗体がない人、抗体が低い人は予防接種をしておくと安心です。

・B型肝炎ウイルス

B型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染します。お母さんがB型肝炎である場合
赤ちゃんは出産のときに産道から血液を介して感染することがあります。
B型肝炎ウイルスによる母子感染を防ぐためには、出生後赤ちゃんにB型肝炎に対する抗体を含む高力価HBsヒト免疫グロブリン(HBIG)やB型肝炎ワクチン(HBワクチン)を接種することが必要です。

・サイトメガロウイルス

サイトメガロウイルスは接触感染・性交感染・母乳や膣分泌液によって感染します。
初感染した場合は胎盤を通して赤ちゃんに感染します。
ただ、全ての赤ちゃんが感染するわけでなく30~50%の確率で感染するリスクがあります。お母さんが感染すると発熱や倦怠感などの風邪症状が現れるので自覚症状からは分かりにくいです。赤ちゃんが感染すると流産・死産・胎児の発達異常などが起こることがあります。治療法や予防法は確立しておらず注意することは子供の尿・便・唾液などを取り扱った後に手洗いうがいを徹底することです。

・HIV(ヒト免疫不全ウイルス)

人に感染すると免疫力を低下させてしまうウイルスです。
治療せずにいると免疫力が弱まり健康な人がかからない病気になり、その病気がエイズ指標疾患とされる病気に当てはまると「エイズ」と診断されます。
HIVに感染していることに気付かず出産すると赤ちゃんへの感染率は30%と言われています。妊娠初期に検査などで感染が分かり適切な処置を取ると、赤ちゃんへの感染率は1%にも満たず、ほとんどの赤ちゃんは感染しません。きちんと健診を受ける事が大切です。

・クラミジア

クラミジアトラコマティスという病原体によって感染します。日本の国内の感染者は100万人以上とも言われています。あらゆる性交渉によって感染し症状も出ない場合もあるのですが、女性が感染し放っておくと不妊症の原因にもなります。パートナーも感染している確率が高いので一緒に受診し治療することが必要です。妊娠中に感染すると赤ちゃんを守っている羊膜に細菌が侵入し前期破水や産道感染による新生児結膜炎・肺炎などにかかることもありますので赤ちゃんのためにも早期治療は大切です。

・カンジダ

カンジダとは酵母カビの一種で、私たちの周りにも体内にもいるカビです。
性感染症と勘違いされる人もいますが、免疫力の低下や抗生物質の使用によって発症します。このカビによりカンジダが発症すると膣の強い痒み・おりものの増加・異臭などの症状が出ます。妊娠中は免疫力が低下するのでかかりやすいと言われています。特に妊娠後期での発症は出産時に赤ちゃんが産道を通るときカンジダ真菌に感染してしまうことがあります。赤ちゃんが感染すると鵞口瘡という皮膚炎を発症したりするので、出産までの間に治療しなければなりません。病院では薬を使ってきちんと治療するので自己判断せず心配なことがあれば受診し相談しましょう。また再発も多いのでお薬を最後まで使い切る事が大切です。

・トキソプラズマ

家畜の肉や感染した猫の糞や土の中にいる原虫です。人から人への感染はなく猫を介しての感染や熱処理されていない肉から感染します。
妊娠初期では感染率25%に対し妊娠後期では60~70%となっています。
ただ、先天性トキソプラズマ顕性感染の危険率は妊娠初期60~70%に対し妊娠末期では10%という報告がされています。
予防としては生肉をよく焼くこと、フルーツや野菜はよく洗う。
ガーデニングなどの土いじりの後は手袋を着用することです。

普段もできる対処法について

・妊娠前に麻疹・風疹・水痘などの抗体価を調べておくことです。

子供の頃にワクチンを接種していても抗体価の値がクリアしてなければ意味がありません。
特に妊娠初期にかかると後遺症が残るような感染症もあるので自分の抗体価を調べておきましょう

・感染症が流行しているときの無理な外出を控えましょう。

流行する感染症は1年中あります。外出しないことは無理ですしむしろ気分転換に出かけることはお勧めしますが、流行がピークな時期や人混みなどは極力控えて帰宅後は必ず手洗いうがいをしましょう。

感染症について

母子感染を起こす多くの感染症は妊婦健診によって発見できます。妊娠週数によって受ける検査や必要時に行う検査も多くあり、お母さんと赤ちゃんの病気に早く気づき、早く対応することができます。感染症についてはとても怖がる人もいますが、正しい知識を持ち正しい治療をしていくことが大切なので、心配なことがあれば一人で抱え込まず専門家に相談して下さい。そして、ストレスの少ないマタニティーライフを送ることがお母さんと赤ちゃんにとって一番です。

 

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